日本アニメーションの初期の発展は1920年代にさかのぼる。当時、日本の映画制作者たちは、西洋で最新の発展を遂げていたアニメーション制作技術を日本に持ち込み、試作を始めた。日本の映画制作者はそれ以前からアニメを制作していたが、日本で初めて大きな人気を得たアニメは1963年に登場した。漫画の巨匠・手塚治虫が創作した漫画作品『鉄腕アトム』がアニメ化され、元旦の日にフジテレビで放送されたのである。
1970年代になると、日本アニメはさらに発展し、それまでの西洋技術を模倣する路線を捨て、日本独自のSFアニメを創作するようになった。当時の代表的な作品には『ルパン三世』や『マジンガーZ』がある。同時期、宮崎駿や押井守といった映画制作者もアニメ制作の世界で頭角を現し始めた。
1980年代、日本アニメは国内で主流のテレビ番組のひとつとなり、日本アニメ史上初の黄金期を迎えた。この時期、『ガンダム』シリーズや高橋留美子の作品群が始まり、大友克洋の『AKIRA』は1988年に当時最も高額なアニメ作品と呼ばれることになった。
1990年代以降、日本アニメは国際アニメ市場でますます注目を集めるようになった。映画『AKIRA』、『新世紀エヴァンゲリオン』（EVA）、『攻殻機動隊』は1995年以降、国際的に有名なアニメ映画となった。また、『新世紀エヴァンゲリオン』や『カウボーイビバップ』といった日本のテレビアニメも世界各国、特に西洋のアニメファンを惹きつけた。
2002年には宮崎駿が『千と千尋の神隠し』でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、第76回アカデミー賞では「長編アニメ映画賞」を獲得した。また、『イノセンス』（攻殻機動隊2）は2004年にカンヌ国際映画祭で上映された。
日本アニメの初期発展
現存する日本アニメ作品の中で最も古いものは1906年の『愉快な百面相』とされる。1920年代から、日本の映画制作者は西洋で新しく開発されたアニメーション制作技術を用い、アニメ作品の試作を行い始めた。
日本初のアニメ映画短編は下川凹天による『芋川椋三玄関番の巻』であり、1917年1月に上映された。当時、下川は西洋風の水彩画家であった。1918年には、日本初の国産原作を基にした短編アニメ映画『桃太郎』が制作された。以降、1920～40年代にかけて短編アニメ映画が数多く制作され、日本初のトーキーアニメ『力と女の世の中』も登場した。
第二次世界大戦中も一定の制作は続き、『桃太郎の海鷲』は日本初の長編アニメ映画となった。戦後は設備や資金不足で制作は停滞したが、東映動画（現・東映アニメーション）の前身である日本動画株式会社の設立によって、アニメは現代へと続く発展の道を歩み始める。
東映動画と虫プロダクション
1956年、東映動画は社名を冠してカラーアニメ映画の制作を開始し、1958年公開の『白蛇伝』は東映初の長編カラーアニメ作品となった。その作風はディズニー作品を思わせるもので、音楽や動物キャラクターを多用した。1960～70年代の東映アニメは依然としてディズニー的要素を保持していたが、一方で高畑勲の『太陽の王子 ホルスの大冒険』のように新しい表現手法が取り入れられ、日本アニメの「オリジナル化」や「リミテッドアニメーション」の礎となった。
このリミテッドアニメーションの手法は、限られた資源の中で物語の核心部分に重点を置くためのものであり、大塚康生が最初に試み、後にテレビアニメで大きく発展させた。
一方、1960年代初頭に手塚治虫が設立した虫プロダクションは、1963年に『鉄腕アトム』をフジテレビで放送し、日本初の国民的人気テレビアニメとなった。『鉄腕アトム』は翌1964年にアメリカでも放送され、日本アニメが世界に広がるきっかけとなった。続いて『鉄人28号』『ジャングル大帝』『マッハGoGoGo』などが制作され、日本アニメの基盤が確立された。
1960年代後半には手塚が大人向けのアニメ映画制作にも挑戦し、『千夜一夜物語』『クレオパトラ』『哀しみのベラドンナ』などが生まれた。特に『哀しみのベラドンナ』は後の『少女革命ウテナ』に影響を与えたとされる。同時期に『ルパン三世』が放送され、日本初のオリジナル成人向けテレビアニメとなった。
1970年代の日本アニメ
1970年代、日本映画市場はテレビの台頭により衰退した。東映はディズニー式アニメ制作から脱却し、テレビアニメ制作に注力するようになる。また、虫プロ倒産後、マッドハウスやサンライズといった新たなスタジオが次々に設立され、多くの若手アニメーターが監督を目指して奮闘した。その結果、多様な作品が市場に登場した。
1974年放送の高畑勲『アルプスの少女ハイジ』は、当初子ども向けの単純な物語として懐疑的に見られていたが、ヨーロッパを中心に世界的な名作となった。これを契機に「世界名作劇場」がシリーズ化され、1990年代半ばまで人気を保った。
同時期にSFアニメも本格的に始動し、『マジンガーZ』（1972）、『勇者ライディーン』（1975）、『宇宙戦艦ヤマト』（1974）、『機動戦士ガンダム』（1979）などが登場した。これらの作品は複雑な人間関係や道徳的ジレンマを描き出し、従来の勧善懲悪的な物語から一歩進んだ世界を築いた。特にガンダムシリーズのシャア・アズナブルは、その象徴的存在となった。
日本アニメの黄金時代
1970年代末、アメリカ映画『スター・ウォーズ』の成功を背景に、宇宙を舞台とした作品が急増した。松本零士の『宇宙戦艦ヤマト』は映画化され、日本アニメ黄金時代の幕開けとなった。
この時期、アニメ雑誌『Animage』『Newtype』などが創刊され、ファン文化（オタク文化）が急速に広がった。また、制作現場ではリソース節約の工夫が生まれ、監督やアニメーターの個性が作品に反映されるようになった。
海外でも影響は大きく、『科学忍者隊ガッチャマン』は『Battle of the Planets』（1978）や『G-Force』（1986）に翻案され、『宇宙戦艦ヤマト』は『Star Blazers』（1979）、『マクロス』などは『ロボテック』（1985）としてアメリカで放送された。こうしてアメリカでもアニメファン＝オタク文化が形成されていった。
国際的な広がりと社会現象
1980年代にはアニメが日本社会に大きな影響を与え、『超時空要塞マクロス』の登場キャラクター林明美は実在のアイドルのように扱われるほどであった。アニメ雑誌やイベントも盛んになり、OVA市場も拡大した。
さらに、アニメ関連グッズも爆発的に増加し、ノート、ポスター、電話カード、筆箱など数えきれないほどの商品が販売された。各地に専門店ができ、ファンクラブや同人誌活動も盛んになった。
1985年以降、多くのアニメ専門学校が設立され人材が過剰となり、一部はアメリカに渡って技術革新をもたらした。同時に日本アニメがアメリカで放送され、異なる作風が受け入れられていった。1987年にはアメリカ初の日本アニメ専門雑誌『ANIMAG』が創刊された。
香港や台湾でも1980年代半ば以降、日本アニメは社会的ブームとなり、映画祭や共同イベントが開催された。台湾では『マクロス』『モスピーダ』『オーガス』の放送をきっかけに専門店や雑誌が登場し、アニメ文化が広がった。
一方、中国本土での普及は比較的遅く、1980年代から一部作品が輸入されたに過ぎなかったが、『スラムダンク』の放送を契機に人気が爆発し、関連グッズも市場で大きな成功を収めた。
こうして日本アニメは、単なる子ども向け娯楽ではなく、社会や文化に深く根付いた存在となり、世界中の若者に夢と想像力を与える文化現象へと成長したのである。
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